宝石ハンター日記_インド・ジャイプール編 (1/3)

Vol.1 私たちが海を越える理由

 

インド、ジャイプール、天然石の聖地。

言わずと知れた、宝石研磨で有名な街。アフリカ、アメリカ、ヨーロッパ、アジア・・世界中からさまざまな宝石が運ばれてくる国際都市です。新型コロナの感染拡大により買い付け活動が止まって以来、ビズーが最初に選んだ買付けの地です。

さぁ、時計の針を日本時刻から3.5時間戻して・・インドの世界を覗いてみましょう。

ジャイプールへは、首都デリーから陸路で約4時間。2車線の道路に車が4台並ぶ・・そんな危険な道を進んでいきます。北部ラジャスターン州に入ってしばらくすると、首都のナンバープレートの車である私たちは、スピード違反でもないのに検問に引っ掛かりました。「賄賂が欲しい・・」それが要求。待つ事10分。幸いにも同行していたインド人の交渉力と調整力によって、そのまま事なきをえました。

そしてついに、宝石の都「ジャイプール」へ。

暑さ40度超えの灼熱の世界です。道路には、ラクダ、馬、水牛が普通にいます。トラも出現することもあるとか!

「インド」と言うと、みなさんは何を思い浮かべますか?

カレー、ヒンズー教、ボリウッド、ガンジー・・それぞれだとは思いますが、やっぱりビズーにとっては、『宝石の聖地』その言葉に尽きると思います。

インドでは、近隣国のミャンマー、カンボジア、アフガニスタンのように宝石が多彩に採れる事はないですが、研磨をする職人が沢山いることから、世界中から原石が集まります。採れたての原石たちです。カラーストーンの研磨は、硬度が高いダイヤモンドよりも取り扱いが繊細なことから、高い技術が求められます。(原石についてVol.3をお楽しみに!)

ここで少し、地球儀サイズに視野を広げてみましょう!

アマゾンに近い、南米・ブラジル奥地の鉱山で採掘された原石が、大西洋を超えてインド・ジャイプールに送られます。そして、研磨されて宝石になり、太平洋を渡って再びアメリカ大陸へと運ばれます。アリゾナ、ラスベガス、マイアミの展示会で紹介されて、インドやタイのブローカーの手に渡って、再びアジア大陸へ。それが、ヨーロッパ、オセアニア、香港、日本人などのバイヤーを経由して、再びタイやベトナムで製造に使用されて、最終的にそれぞれの国で並ぶ・・・これが宝石視点から見える景色です。

これはあくまで一例ですが、どれだけの人がそこに関わっているのでしょうか。宝石は、何往復も世界中をかけ巡っています。

そして、BIZOUXのバイヤーが世界を巡るのは、まさにそこに理由があります!

ビズーは、プロ用の展示会に宝石が並ぶ前のタイミングで、宝石を買い付けています。理由は、その方が「素敵な色に出会える」から。流通経路に乗せられる宝石の動きよりも早く動くことで、できる限り鉱山に近い場所で買い付けています。ブランド創業から12年かけて、ようやくそれが実現できるようになりました。たまに忘れかけてしまいますが、このタイミングで買い付けができるのは、決して当たり前の事ではありません。

Vol.2では、どうしてビズーにそんな買い付けが可能なのか、バイヤーが感じる極意を公開したいと思います!